-8-
魔界へたどり着くと、レッドウィングスは決闘の場へ私をつれて行ってくれた。
そこには、すでに幾重にも人だかりができていた。
「止めて……あの人たちを。お願い……」
「……うん」
レッドウィングスにうなづき、人垣をかき分けた。
輪の中央ではラズルとオズマが血にまみれて闘っていた。
「……ラズル、オズマ……」
呼んでも、2人は気づかなかった。それほど、必死になって闘っていた。
「死んでしまうわ……あんな闘い方をしていたら……」
傍らにレッドウィングスが来ていた。
「…ねぇ、もしかして2人は、どちらかが死ぬまで闘うんじゃ…」
「そうね……」
レッドウィングスが応えて、私の肩を抱いた。
「でも2人の剣は互角……それに力も尽きてきてる……相打ちだってあるかもしれないわ……」
「そんな……いやっ!」
「やめさせて、なら……!」
私の声より、レッドウィングスはさらに大きな声で叫んだ。悲鳴に近かった。
私は弾かれるように、取り巻きの中から飛び出した。
カチーンという剣のかち合う音が響いた。
「ラズル……」
私は、振りかざされた剣を止めたラズルに声をかけた。
「ルキア…か」
顔を向けたラズルのこめかみを一筋の血がつたった。
「こんなことは……もう、やめて。ねぇ、オズマも……」
2人は、無言で首を横に振った。
「なぜ……そんなこと、無意味だわ!」
「無意味なんかじゃない……ルキア」
オズマが低い声で言った。
「私はこの闘いに決着をつけなければならない…」
「そんなことしたって、喜ばない誰も……あなたの愛してた人だって!」
「……私は、私のために闘っている、ルキア……」
2人には、私の願いを聞き入れてくれる気配すらもなかった。
前に2人が闘った時とは、明らかにちがう……私は、次の言葉を失った。
その矢先だった。
オズマの剣が、ラズルの腹部に深くつき刺さった。
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