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「宿業の双子の一節ではないか……なぜ、これが私とミカエルのことだと?」

「なぜって……似ておいでですもの。 ミカエル様とルシフェル様って……目元などそっくりですわ」

「それだけか……それだけのことで、おまえは私とミカエルが兄弟などという戯言を……」

「戯言なのかは……」と、ベリアルがルシフェルを流し見る。

「神のみぞ知る真実ではないのかと……ミカエル様とルシフェル様は似ていらっしゃるという噂はよく聞かれますし」

「ベリアル……我が神を愚弄することなど許さぬ……」

にらみつけるルシフェルの眼差しをとらえ、「素敵ですわ……その目、ぞくぞくしますわ」と、ベリアルは口元を引き上げて微笑った。

「くだらぬ……そのような世迷言で、私がうろたえるとでも思っているのか……」

再び読んでいたページをひらこうとするルシフェルに、「いいえ……」と、ベリアルが首を横に振って言う。

「私は、ルシフェル様にお話を伝えたかったまで……他意は、ありませんわ」

ベリアルが椅子を引き、「では、ルシフェル様にも……神のご加護がありますように」と、書物に添えられていたルシフェルの手を取りひざまづいて口づけた。

「触るな……穢らわしい」

ルシフェルが取られた手を引き払いのける。

「美しく冷徹なルシフェル様こそ、私の理想……どうぞ、堕天の折りには私もお連れください」

「堕天など、私はしない! これ以上神をないがしろにするような発言をすれば、おまえを……!」

声をあげるルシフェルに、

「んふふ……そのような大声ではまわりに気づかれると言ってますでしょう? また、妙なお噂が増えますわよ?」

と、薄笑いを返した。

「ベリアル……!」

机を両手でたたき立ち上がるルシフェルに、ベリアルはひらひらと手を振って見せると背を向けて歩き去った。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

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