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オズマの姿をぼんやりと目で追っているルキアを、「追わなくていいのか……?」と、ブルーアイズが促す。

「だっ…て……なんで、そんなこと……ラズルは、私がオズマを好きでもかまわないの? ラズルは、もう…私のことが好きじゃないの?」

「嫌いじゃない、ルキア……」

と、ブルーアイズがルキアの頬に手を触れる。

「嘘…! だったらなんでそんなに冷静でいられるの? 本当に好きだったら、もっと、よゆうがないはず…! 私だったら、きっと、あなたに取りすがって泣くもの! 行かないでって! 私のそばにいてって!」

泣きじゃくるルキアを胸に押しつけて、ブルーアイズは言った。

「なら、こう言えばわかってもらえるだろうか……好きだから、おまえの幸せを望みたいだけだと……」

ルキアが少しだけ顔を上げて、ブルーアイズの顔を見つめる。しばらく無言で端正な彼の顔を見ていたルキアは、「彼女の言ったとおりね……」と、呟いた。

「彼女……?」

「そう、彼女……レッドウィングスの言ったとおり。あなたは、私の幸せだけを望んでいたって……彼女は、私にそう言っていた……」

「彼女が……そんなことを……」

「ねぇ、ラズル……?」と、ルキアがブルーアイズを再び見上げる。

「……やっぱり、彼女の方があなたのことをよくわかってるのかもしれないね……」

ルキアは息を吐き、「同じ、ヴァンパイアどうし……」と、つけ足した。

「おまえも、今はヴァンパイアに変わりはない……やはり後悔しているのか…ルキア…」

「ううん…」と、ルキアが首を横に振る。

「前にも言ったように、後悔はしていない……だけど、人間から魔ものになってしまった哀しみは消えずにある……変な言い方だけど……」

「すまない……ルキア……」

頭をたれるブルーアイズに、「どうして、あやまるの…!」と、ルキアが声をあげる。

「あやまってほしいなんて、言ってない…! 怒ってよ…もっと! あなたを怒らせるようなことを言ってるのに…!」

ルキアがブルーアイズの胸をこぶしでたたく。

「ルキア……私は、おまえをどうしてやればいい……」

ブルーアイズが困ったように口にする。

「どうして、そんな風にやさしく言うの……」ルキアの瞳から涙がこぼれる。「そんな言葉、望んでないのに……! もっと、感情的になってほしいのに! それでも、私を愛してるって、言ってほしいのに……! そうしたら、私はオズマを選ぶことなんかなかったのに……! 嫌い……そんなやさしいばかりのあなたは、大っ嫌い!」

髪をなでようとするブルーアイズの手を振り払い、「帰って……」と、ルキアは小さな声で言った。

「ひとりにして……お願いだから……」

背を向けるルキアに、「わかった……」と、ブルーアイズが翼を広げる。

そのブルーアイズの後ろ姿に、「……取りつくろってもくれないんだものね……」と、ルキアが呟く。

「え…?」と、振り返ったブルーアイズに首を振り、「なんでもない……早く、レッドウィングスのところに行ってあげて……あなたには、彼女の元が一番似合ってる……」と、ルキアは言った。

 

  

 

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