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魔界を目指し羽ばたいていたブルーアイズは、
「これで、よかったんだろうか……」
と、ふいに呟いて、枯れ枝に翼を休めるために腰をかけた。
頭の隅にこびりついて離れないルキアの涙に、ブルーアイズが息を吐く。
「私は、やさしさから……まわりを悲しませるばかりで……ルキアと、そしてレッドウィングスと……」
ブルーアイズは口にして、魔界の入り口にあたる紅い凶星を見上げた。
「……誰も選ばないことが私なりのやさしさだと思っていた……だが私は、やさしさを逃げ道にしているだけなのかもしれない……」
強い風がブルーアイズの座っている枝を揺らし、青銀の髪を吹き上げる。
「……私は、どちらかを選ぶべきなのだろうか……」
ブルーアイズは呟き、もらい受けた愛情の証である父の魂が宿る胸に、静かに手をあてた。
「父上……私は、どちらを愛しているのでしょう……」
ブルーアイズの問いかけに応えるように、瞬間、紅い凶星が煌いた。
『おまえは、もうわかっているはずだ……おまえの愛しているのは…………』
声は、ブルーアイズの胸に響くように、確かに聞こえた。
胸をおさえ、聞こえた言葉を噛みしめる。
「私は……そうなのだろうか……」
思い悩むようにシャツの胸のあたりをつかんでいたブルーアイズだったが、やがて心を決めたかのように立ち上がった。
「確かめに、いなかくては……」
ブルーアイズは自らの胸のうちにある真実を知るため、翼をひらき、空へと舞い上がった……。
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