-7-
「うん…まぶしい……」
目もあけられない程の明るさから最初に目を覚ましたのは、レッドウィングスだった。
「起きて…ねぇ!」
ファントムとグレイを揺り起こす。
「うぅ…奴は?」ファントム・ウルフがうめいて目をあけ、「伯爵は、蘇ったのか?」と、グレイがあたりを見まわす。
「……わからない。なんだか、すごく静かで……」
静けさに気を許しうろうろと歩きまわるレッドウィングスを、
「油断するな…」
と、グレイが手を引いて止める。
「ああ…この静寂を警戒した方がいい…奴は、まだどこかに潜んで息を殺しているかもしれない…」
ファントムの言葉に、レッドウィングスが身を固くしてうなづいた時だった。
「……よけいな忠告を! その女を餌食にできたものを!」
デッドエンドがすぐそばの木の間からがさりと姿を現わした。
「やはり…いたのか!」
立ち上がろうとしてファントム・ウルフが流れる血に足をすべらせてひざをつく。
「……ふっ、他愛もない。その出血で大層な口をたたくな……」
「なんだと…!」
「よせ、ファントム…乗るな…それよりデッドエンド、伯爵はどうした? 生き返ったのか?」
「……聞きたいか?」
デッドエンドがにやりと顔を歪める。
「聞きたいね…」
グレイが暗いデッドエンドの双眸をにらみ返す。
「伯爵は…………」
言葉を切り、デッドエンドが大鎌をぶん…と振り払った。
「そこだっ…!」
切られた幹が音をたてて崩れると、降りしきる葉の中に佇んでドラキュラ伯爵がいた。
「伯爵……」
生き返ってしまったのかと、呆然とドラキュラ伯爵を見つめるグレイに、
「久しいな…グレイ」
と、伯爵が口をひらいた。
「そこにいるのは、人狼族か……おぉ、レッドウィングスもいるのか? して……我が息子は?」
グレイとファントム・ウルフが口をつぐむ中、レッドウィングス言った。
「亡くなりました……」
「なんだと?」
伯爵が低い声で聞き返す。
「なぜだ! 我が息子は、なぜ死んだ! 殺されたのか!?」
声を荒げる伯爵に、「聞いてください……」と、レッドウィングスが告げる。
「……ブルーアイズは、私が殺しました……」
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