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「……遅くなってごめんなさい!」
「待ってだぜ! 早く、こいつを…!」
振りかざされた大鎌を剣で受け止めながらファントムが叫ぶ。
「二人ががりか! 忌々しいっ!」
ようやく鎌をはね返し片ひざをついたファントム・ウルフの肩に、はずみのついた切先がずぶりとつき刺さる。
「うぅ…っ!」
「次は、とどめだ!」
デッドエンドが鎌を引き、再び切りかかる。
「……させないっ!」
レッドウィングスが鎖鎌を大鎌の柄に巻きつける。
「邪魔くさいわ!」
デッドエンドは一振りで鎖鎌を振りほどくと、切れた肩口にざくりと刃を入れた。
「……これで終わりだ!」
「……終わりは、どっちだ?」
ふいに背後から聞こえた声に、デッドエンドが「なに?!」と、振り向く。
「後ろがあいてるぜ?」
現われたグレイが、ガッとデッドエンドの首を腕に捕らえギリギリと絞め上げる。
「うぅ…くそっ! 3人目がいるなど…っ!」
「戦いに、油断は禁物のはずだろ」
言いながらグレイが腕にさらに力を込める。
あえぎあごを出しデッドエンドが息も絶え絶えになる。
「そろそろ息の根を止めてやる……おとなしく冥府へ帰りやがれ!」
グレイが言い、首をひねり上げるため頭に手を添えようとした、その一瞬、
「この私を、甘く見るな!」
デッドエンドはグレイの腕の中から消え、空中へ瞬間移動した。
「貴様らなぞに、殺される私ではないわ!」
ファントム・ウルフが肩に刺さった鎌を抜き、力まかせに投げつける。
「くくっ…無能どもでは、この私は殺せぬと言っておろうがっ!」
投げられた鎌を余裕ありげに片手で捕らえ、デッドエンドが声をあげて笑う。
「……貴様を殺せなかったのは惜しいが、この鎌は充分に血を吸った……今こそ、ドラキュラ伯爵を蘇らせてやる!」
「なんだと……!」
声をあげるファントムたちの目の前で、デッドエンドが大鎌を振り下ろす。
低く雷鳴が響き渡り、空が引き裂かれたかのように稲妻が走る。
「神祖ドラキュラ伯爵の魂よ! 我が手中に……!」
デッドエンドの声とともに、魔界の空は青白くスパークを起こし、あたり一面が白い閃光に包まれた。
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