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「よ…せ、レッド…ウィングス……」

苦しげに言うブルーアイズの声に、レッドウィングスがはっとしたように手を離す。首筋を流れる血に手を触れると、レッドウィングスは、「ごめんなさい……」と、小さな声であやまった。

「……前に、誰かが言ってたわ。あなたは、まわりを不安にさせるって……。殺してやりたいと、傷つけてやりたいと、心の中をかき乱すって……。……その時は、私は否定したのに……いざあなたを目の前にすると、そんな輩と何も変わらないみたいね……」

レッドウィングスは言って、むりやりに微笑を浮かべて見せた。

「……私には、何もできないのか。……おまえを、心から愛してやることも……」

「バカね……」と、レッドウィングスが口にする。

「……こんな時にまで、あなたは、自分を責めるのね……」

レッドウィングスがこぼれた涙を指でぬぐって、「あなたの、血をちょうだい……」と、言った。

「……私がつけたこの傷に、牙を立てさせて……」

レッドウィングスが、ブルーアイズの首に幾筋も紅くみみず腫れのようになっている掻き傷へ指をたどらせる。

「……ああ、おまえが望むなら……」

「……愛しているわ。ブルーアイズ……」

レッドウィングスは告げて、ブルーアイズの首に鋭い牙をつき立てた。

「う…あ、んっ…!」

ブルーアイズが痛みに顔を仰のかせる。その頭を腕にきつく抱き直して、レッドウィングスは、さらに深く牙で貫いた。

「あぁっ……うん!」

ブルーアイズが喘いで口をあけると、レッドウィングスは血に染まった牙をやっと抜いた。

「……あなたの血は、いつも甘美ね……」

レッドウィングスは血にしっとりと紅く濡れた唇を寄せ、はぁはぁ…と小さく息をつくブルーアイズにそっと唇を重ねた。

「……このまま、いさせて……。……嫉妬も、欲も、情念も、いっしょくたにしたままで……。私には、あなたの愛を受け入れて、綺麗に愛し合うことなんてできないから……」

ブルーアイズが、レッドウィングスの頬に手を伸ばす。

「……私は、おまえの想いを汲んでやることもできないのか……」

その手を取って自分の頬にあてながら、レッドウィングスは、「ちがうわ……」と、首を横に振った。

「……ちがう。ただ、このままでいたいの……」

「そう…ただ……」と、レッドウィングスは口にして、あとの言葉を呑み込むように、ブルーアイズに接吻けた……。

 

ただ、醜いくらいに……あなたを、愛していたいだけ……

 

  

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