ブルーヴァンパイア]U「交響詩 ブルーヴァンパイア」

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あけ放った窓から月光が降り注いでいる。

冷たい風が髪をなぶり、部屋を吹き抜けていく。

ぱらぱらと頁をめくる音に顔を上げて、レッドウィングスは頭を振り返らせた。

「……かたづけなきゃ、そろそろ。いつまでも、落ち込んでなんかいられないものね……」

呟いてレッドウィングスはテーブルの上に置き去られていた魔術書を取った。

「……とても熱心に読んでいたけれど……」

魔術書をひらき、好奇心から冒頭の一行を口にした。

途端、青白い閃光が天空を割り、本を手にしたレッドウィングスの体を電流が走り抜けた。

「な…に…」

震える唇で言う。雷鳴が間近で轟き、手を本の中へ引き込もうとする。

「こ…れ……魔力が、強すぎる……」

電流が全身を包み、しびれて動かない。引き込む力は信じられない程に強く、みるみる手首までが飲み込まれた。

「どうしよう…私の魔力なんかじゃかなわない…すごい、力…このままじゃ……」

ドラキュラ伯爵の肩書きを持つブルーアイズだったからこそ、強大な魔力を封じ込めておくことができていたんだとわかる。

必死で抵抗しようとしてもどうしようもない。ずぶずぶと肩まではまり、あきらめかけた。

その時、

「邪魔するぞ……レッドウィングス…おい、どうした!」

声をあげ、ファントム・ウルフが窓から飛び込んできた。

「ファントム…助け…て…」

半身を引き込まれ、手をあらん限り伸ばした。

その手をファントム・ウルフががっしりとつかんだ。

 

 

 

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